まぐろのお話 – 養殖本マグロ ②

さて、前回は養殖本マグロが主流になってきた経緯や世界のどの地域で養殖されるかなどのお話をしてきました。今回は、養殖本マグロの漁獲や育ちについてお話ししていきます。

前回のお話しの通り、本マグロが養殖できる場所は世界的に見ても、とてもとても限られております。その理由としては、さまざまな条件が揃わないと、どんなに世界のすべてのお金を持っていても、養殖をすることができないからである。

本マグロは産卵のためや海水の温度などで海の深い場所に潜ったり、海面近くまで上がってきたりすることがある。本マグロの漁獲は基本的にマグロが海面近くまで上昇したところで漁獲されるのである。そのため、本マグロが水面深くまで潜ってしまっては、漁獲すらできないのである。つまり、本マグロが海面近くまで上昇しない場所では漁獲できないと言うことになる。

本マグロは、世界の様々な海域で海面まで上昇するため、漁師はそのポイント(水域)を知らなければならない。例えば、太平洋のど真ん中だったり、陸から近いところなど、場所は様々。ただ、養殖をすると言うことになると、太平洋のど真ん中で漁獲できたとしても、養殖するために陸の近くの浜までマグロを生きたまま運ばなければならない。太平洋のど真ん中から陸まで、何百トンもの本マグロを生きたまま運ぶなんて、無理なことである。

そのため、本マグロが養殖できる条件としては、陸からそれほど遠く、かつ、本マグロが海面近くまで上昇する海域でなければならないのだ。

このことから、世界で養殖できる海域がとても限られていることの理由がわかっただろう。海のダイヤモンドと呼ばれる本マグロを養殖できる国はごくわずかであり、とても貴重であるのだ。

また、陸近くの養殖場に運ばれた本マグロは、鰯(イワシ)などのエサを与えられて、数ヶ月から数年間育てられ、その後、みんなのテーブルに並ぶのである。

本マグロはとても繊細な生き物のため、沖から陸まで運ばれる際は、ストレスから多くの尾数が死んでしまう。また、養殖場についてからも、エサやりをしても、数週間エサを全く食べないことがほとんどで、そこで死んでしまう尾数も多くいます。

無事、環境に慣れ、大きく育った強い本マグロだけが生き残り、出荷されるのである。

大変美味しい、本マグロという食材であるが、多くのプロセスを経て皆さんの元まで運ばれ、幸せを与えてくれます。

本マグロに感謝ですね。ありがとう。

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